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2023.08.12

ピロリ菌の検査方法について 徹底解説

  • ピロリ菌とは?

「ピロリ菌」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
ピロリ菌は、潰瘍や胃がんの原因となる菌で、胃がんの原因の95%はピロリ菌と考えられいます。また1994WHO(世界保健機関)は「ピロリ菌は、胃がんの確実な発がん因子」と認定しました。
昔から、胃がんや潰瘍の組織の上に「何か」が付着しているのは分かっていました。しかし胃の中は強い胃酸のため、胃には細菌は棲めないと考えられていました。ところが、このピロリ菌は尿素を分解しアンモニアを産生し(「ウレアーゼ活性」)、胃酸を中和することで胃の中でも住み続けることが出来ることが分かりました。
ピロリ菌は幼児期(5歳まで)に口から入り込み、自然に排出されることなく胃の中に棲み続けます。そして胃炎や潰瘍、そして胃がんを起こす原因となる細菌です。

日本での感染者は約20003500万人(4人に1人)とも言われ、特に高齢であるほどその感染率は高くなります。感染経路として、井戸水などからピロリ菌がうつったと考えられ、上下水道が発達していなかった時代では感染しやすかったと考えています。それ以外にも、両親(特にお母さん)から子供への口移しでも感染するのではないかと考えられています。(お父さんからより8倍感染が高かったという報告がある)しかし、いまだにその感染経路とははっきりしていません。

  • ピロリ菌の検査方法

ピロリ菌の診断方法には大きく2つ、①胃カメラは使って調べる方法  ②胃カメラを使わない方法に分かれます。

それぞれ3種類、合計6種類の方法があり、それぞれに特徴、注意点がありますので、解説します。

①胃カメラを使う方法

まず胃カメラで胃炎や潰瘍などがないか観察し、同時に胃粘膜をつまんでピロリ菌検査を行います。「胃カメラを使うなんて大変…」という意見もありますが、「胃カメラで胃がんが無いか、活動性炎症が無いかが分かる」ということはとても重要なことです。ほかの検査では「胃がんがあるのか」については分かりません。

胃カメラを使う方法の共通の弱点は、「偽陰性になる可能性」がある、ということです。胃カメラを使う方法には、胃粘膜のうち2か所の組織をつまみ、その検体を用いてピロリ菌感染の有無を調べます。「たまたまピロリ菌に感染していない」粘膜を摘み取ってしまう、という可能性があります。本当はピロリ菌がいるのに、いてないと判定してしまう、つまり偽陰性の可能性があるということです。
その中で●迅速ウレアーゼ試験 ●鏡検法 ●培養法があります。

この中で最も一般的に行われているのが「迅速ウレアーゼ試験」です。

迅速ウレアーゼ試験

取り出した胃粘膜組織を、尿素とpH指示薬が混ざった試薬に入れます。胃粘膜にピロリ菌がいた場合、ピロリ菌が尿素を分解してアンモニアを作り出します(ウレアーゼ活性)。アンモニアはアルカリ性であるためpHが上昇し、試薬の色が変化することでピロリ菌感染を判定します。
弱点として、胃薬(制酸剤)を飲んだ状態で検査を行うとピロリ菌の活動性が落ちるため、偽陰性になることがあるということです。またウレアーゼ活性を有しないピロリ菌の場合も陽性にはなりません。

鏡検法

HE染色またはギムザ染色を行い、顕微鏡で直接ピロリ菌がいないか観察します。直接ピロリ菌を観察しますので、確実に陽性と指摘できます。
弱点の一つは、染色などの時間がかかり結果が出るまで1週間ほどかかります。

培養法

検体組織から菌を分離培養して、ピロリ菌がいないかを確認します。この検査法の長所は、培養した菌に対して抗生剤が効くかどうか調べることが出来ること、遺伝子診断など他の検査に利用することが出来ることです。ただ、培養に時間を要するため、結果が出るまで1週間ほどかかります。

 

  • 胃カメラを使わない方法

胃カメラを使わない方法の最大のメリットは、「胃カメラを飲まなくてもいい」という点です。ただし注意点があります。ピロリ菌の検査や治療は「胃カメラをして胃がんが無いかを調べた」患者さんには保険が適応されますが、胃カメラを使わない方法では保険が適応されず自費での検査になります。

胃カメラを使わない方法には●尿素呼気試験 ●便中抗原検査 ●血液または尿の抗体検査があります。

尿素呼気試験

検査薬(13C尿素を含んだ錠剤)をのむ前後に、専用バッグに息を吹き込んで、その中の二酸化炭素の組成で、ピロリ菌の有無を判定します。ウレアーゼ活性を有するピロリ菌がいた場合、検査薬中の尿素を分解し、13C を含んだ二酸化炭素(CO2)を排出します。
身体に負担もなく、精度の高い検査方法です。また検査結果も専用の機械を使うと、15分程度で結果が判定します。
弱点は、胃薬(胃酸を抑える薬)を飲んでいると、ウレアーゼ活性が落ちるため「偽陰性」になる可能性があること、そしてウレアーゼ活性を有さないピロリ菌の場合も陰性となってしまうことです。

便中抗原検査

ピロリ菌に対する抗体や、生きた菌だけでなく死んだピロリ菌にも抗原として認識、反応することを利用した検査です。
弱点としては、便を採取する場所によっては陰性になることと、便を提出するというわずらわしさがあることです。

血液中、尿中抗体検査

ピロリ菌抗体とは、ピロリ菌に感染した場合に体が作る免疫物質です。血液や尿検査で抗体の量を測定し、抗体の値(抗体価)が高い場合には感染していると判断します。
この検査のメリットは、血液や尿検査で簡単に調べられるという点です。それゆえ、検診のオプションなどによく用いられます。
弱点は、既感染(以前に除菌治療歴がある)でも抗体が陽性となることです。ピロリ菌が除菌して体内からいなくなっても抗体は残ったままです(時間がたつと、抗体価は下がってきます)。そして、2022年ごろから抗体検査キットが変わり、抗体価が高く出るようになっています。

昔は、抗体検査では抗体価10以上が陽性とされていました。それが検査精度高くなるにつれ、3以上が陽性(正確には310は「陰性高値」)と判定されるようになりました。そして、2022年からは、抗体価15でも偽陽性つまり本当はピロリ菌がいないのに抗体価が高く出る傾向が出てきた、ということです。抗体検査での判定は、とても評価が困難になっています。

ピロリ菌検査は受けないで!

  • ABC分類

近年胃がん検診の一つとして、ドックなどで取り入れられることもある「ABC分類」、別名胃がんリスク分類はご存じでしょうか。これは血液検査で、「胃がんになるリスクが高いか」を調べる検査のことです。注意点は、あくまで「胃がんのリスク」を調べる検査であり、「胃がんがあるか」の診断を行っているわけではない、ということです。
血液検査で、血清ピロリ菌抗体(以下ピロリ抗体)とペプシノーゲン法(以下PG法)を組み合わせて、3群または4群に分けて、胃がんリスクがどれだけ高いか(低いか)を調べることができます。

■ペプシノーゲン(PG)法とは

PG法とは、PGⅠ、PGⅡの数値から、胃粘膜の萎縮や炎症の程度を調べる検査です。ペプシノーゲン(PG)とは、胃粘膜だけで作られる蛋白分解酵素ペプシンの前駆体で、PGⅠとPGⅡの2種類があります。PGⅠは胃底腺だけで作られ胃酸分泌能(胃粘膜萎縮)を反映する指標となり、萎縮が進むと数値が下がります。PGⅡは胃の噴門腺や幽門腺、十二指腸でも作られます。また炎症があると多く作られ数値が上がります。

胃粘膜の萎縮(老化)が進行すると胃底腺領域が萎縮して、幽門腺領域が広がるためPGⅠは低下し、PGI/II比も低下します。そこでPGⅠ≦70 かつ PG/Ⅱ≦3で PG法(+)とします。

A群 ピロリ抗体(-) PG法(-)
B群 ピロリ抗体(+) PG法(-)
C群 ピロリ抗体(+) PG法(-)
D群 肥満2度ピロリ抗体(-) PG法(+)

A群は胃がんのリスクがほとんどなく、BCDになるにつれて、胃がんになるリスクが高くなります。

■分類ごとの年間胃がん発生頻度 

A群 ほとんどない
B群 1000人に1人
C群 500人に1人
D群 80人に1人

ABC分類の注意点

  • 【注意①】ピロリ菌感染既往のある方は胃がんリスクの少ないA群に分類されてしまう事がある

ピロリ菌を除菌した人で、抗体が少なくなるとA群と診断されることがあります。ただ、ピロリ菌は5歳までに感染しており、除菌後の人であってもすでに胃炎が起こっており、ピロリ菌にこれまで感染したことがない人よりも胃がんになるリスクが高いことが分かっています。したがって、ピロリ菌除菌した人は、このABC分類は行うべきではありません。除菌後の方はE群と分類され、検査の対象外となります。(除菌:Eradication

【注意②】正常の人でもD群と判定されることがある。
これまでピロリ菌に感染しておらずピロリ抗体は陰性なのですが、ペプシノーゲンの分泌が低い方もD群と判定されることがあります。一般的にD群は胃がんのリスクが高いと言われますが、この場合は胃がんのリスクはほとんどありません。胃カメラで胃の粘膜を直接観察することで、胃の粘膜が萎縮しているかどうか判別できます。

このように、ピロリ菌の検査には、様々な方法があり、各々に長所と短所があります。
したがって、どれか一つの最適解があるわけではなく、患者さんや病院の事情に合わせて行っていく必要があります。

その中で大事なことは「胃カメラで胃がんがないか」は確認しておいた方がいいということです。そもそもなぜピロリ菌がこれだけ注目されているか、それは胃がんを起こすからです。そして胃がんがあるかどうかは胃カメラをしてみないと分かりません。胃バリウム検査や腫瘍マーカーでは分かりませんし、ましてや症状はほとんどあてになりません。

胃カメラをすれば胃がんがないか、そして現在どれくらいの炎症が起きているかも分かります。ピロリ菌は1種類ではなく、攻撃性の強いもの(炎症を起こして胃がんのリスクを高める)もあれば、攻撃性の弱いものもあり、ひとえにピロリ菌感染といっても胃の状態は様々です。

当院では、胃カメラを行い迅速ウレアーゼを行うことを基本としております。胃薬を飲まれている場合には血液抗体を使用することもあります。また除菌後の効果判定には、尿素呼気試験を行っております。

大阪本町胃腸内視鏡クリニック

2022年開業 大阪 堺筋本町⑨出口すぐの内視鏡専門クリニック(森ノ宮胃腸内視鏡ふじたクリニックの分院)
鎮静剤麻酔を使った苦しくない胃カメラ、痛くない大腸カメラを行っています。
胃がんの撲滅のためにピロリ菌治療、大腸がんの撲滅のために大腸ポリープ手術(日帰り)を積極的に行っています。
また2023年6月より肥満外来を行っています。
肥満は生活習慣病の原因となるだけでなく、がんのリスクを高めることも分かっています。

森ノ宮胃腸内視鏡ふじたクリニック

鎮静剤を使った楽な胃カメラ、鎮痛剤を使った痛くない大腸カメラをしている内視鏡専門クリニックです。2016年に開業し、年間約4000件の内視鏡検査を行っています。
JR森ノ宮駅直結、地下鉄森ノ宮駅から徒歩3分の好立地、大阪市内で京橋、玉造、東大阪からもアクセス良好です。
初めての検査で不安なかたや、他の病院でしんどかったかたは、ご気軽に相談下さい。

当院では、積極的に胃腸に関する情報を提供しています。
日常生活にお役立ちする情報ですので、是非ともごらんください。

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