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2023.08.10

便秘に効く食事方法

大阪本町胃腸内視鏡クリニック 院長の藤田です。
今回のテーマは「便秘に効く食事方法」です。

便秘に効く食事方法について詳しく解説

便秘外来をしていると、さまざまな便秘で悩まれている方が受診されます。10代から80代まで、様々な原因で便秘になり、中には便秘薬を何十年も使っている方もいます。
便秘はガンとは違って命を奪う病気ではありません。しかし、便秘がひどいと生活の質を落としてしまいます。
患者さんの中にも「ずっと便のことばっかり考えてしまう」と悩まれている方もいます。

便秘治療には、食事などの生活習慣指導と、薬物治療があります。
今回は食事指導について どういったことに気を付けたらいいのか解説を行います。
是非、今回学んだことを日常生活に取り入れて、少しでも便がすっきり出て、気分もすっきり、明るく過ごせるように願っています。

  • 便とは何か?

    便、ウンチですが、そもそも便が何から構成されているかご存じでしょうか?
    便の成分の7割は水分です。残り3割が固形分になります。その固形分は①食物繊維などの食べ物のカス ②善玉菌、悪玉菌 ③腸粘膜から構成されています。
    通常 食べたものは24~48時間後に便として排泄されます。炭水化物やたんぱく質は小腸で消化吸収されるため便を形作る力はあまりありません。“消化されない”食べ物である、食物繊維が便作りには大事です。(昔は“消化されない”ため、あまり重要視されなかったが、今では食物繊維は“第6の栄養素”といわれています)食物繊維は善玉菌の餌にもなるといわれています。

    • 便秘とは

      そもそも便秘とは、どのような状態でしょうか?
      「週に1回くらいしか便が出ないのが便秘ではないのですか?」と答える患者さんが大半ですが、実は便秘にはれっきとした“定義”があります。
      それは「本来、身体の外に出るべき便が、十分量かつ快適に出ない」というものです。
      少し遠回しな言い方で分かりにくいかもしれませんね。
      “十分量”というのは、腸の中にちゃんと便が溜まっている、ということです。つまりダイエットをして便が少ないと便は出ないので、それは便秘とは言えないのです。
      次に“快適に”というのは、残便感なくすっきり出るということです。裏を返せば、1~2日に1回便は出ているが残便感がする、というのは便秘ということになります。

      単純に□日に1回しか便が出ないイコール便秘、というわけではないということです。理想の排便は、1~2日に1~2回 バナナ1~2本分の便が出るのが理想です。

      • 便秘の原因

        便秘の原因は大きく2つに分かれます。1つ目が「器質的」なもの 2つ目が「機能的」なものです。

        器質性便秘

        器質的とは目で見てわかる病気が原因ということです。具体的には大腸癌が原因で便が出ないことです。

        • 機能性便秘

        機能性とは、大腸の動き(蠕動)が遅れて便秘になることです。
        この機能性便秘にも、大きく2種類に分かれます。(1)排便回数減少型と(2)排便困難型です。

        (1)排便回数減少型
        原因不明の特発性便秘、ある種の病気(甲状腺機能低下、糖尿病、パーキンソン病など)によるもの、薬剤性(向精神薬、麻薬など)によるものがあります。食事量が少ない場合も含まれます。
        (2)排便困難型
        便が硬くて出しにくい場合、腹圧低下、骨盤底筋協調運動障害、直腸の感覚低下などがあります。

        細かい分類を覚える必要はありませんが、覚えてほしいことは「便秘の原因はいろいろとある」ということです。

        年を取ると、全身の筋肉同様、腸管を動かす筋肉も弱ります。70代を超えると男女問わず便秘の割合は増加します。また大腸の蠕動運動は自律神経でコントロールされていることより、ストレスやホルモンバランスの乱れによって自律神経が乱れ便秘や、場合によっては下痢になることもあります。

        • 便秘の食事指導

          便秘の原因は様々あり、食事指導もそれに基づいたものでなくてはありません。
          「この食材を食べたら、だれでも便秘が解消される」そんな食べ物はありません。

          食事指導は その原因によって大きく3つに分けて行っています。
          ①便が少ない
          ②便が硬い
          ③腸の動きが遅い

          ①便が少ない
          便が少ない場合には、便を作る必要があります。便を作るには、食物繊維と善玉菌が必要です。食物繊維には不溶性繊維と水溶性繊維がありますが、どちらも便を形づくるには重要です。
          日本人の摂取目標量は1日当たり男性21g 女性18g以上が理想とされていますが、実際は平均14g程度しか摂取出来ていません。平均的な人の2倍程度、食物繊維を摂ることをお勧めしています。

          また善玉菌を摂るには、発酵食品、例えばヨーグルトや納豆、キムチなどを摂ることをお勧めしています。腸内には200~1000種類の腸内細菌がいてるといわれており、個人差があります。
          したがって、どの菌が体(腸)にあっているかも個人差があります。食べたものは24~48時間で排泄されるため効果もすぐに分かります。
          まず1~2週間試してみて、どの菌が自分に合っているか探してほしいと思います。

          • ②便が硬い

          便が硬くて出ない場合は、便を柔らかくする必要があります。おすすめは水溶性食物繊維(水に溶ける食物繊維)をたっぷりとることです。オクラや納豆、山芋のねばねば成分に含まれていたり、バナナやリンゴなどの果物にも含まれています。

          ここで注意すべきは、「不溶性の食物繊維を摂り過ぎない」ということです。
          時々外来で「便秘なので玄米フレークを食べるようにしたのですが、余計苦しくなって」と来られる患者さんがいます。不溶性繊維は確かに便の量を増やす効果があるのですが、同時に硬くてしまうリスクがあります。ぜひ水溶性繊維を摂るようにしてください。

          他にも「便が硬いので水分をしっかりとるようにしています」といわれる患者さんもいます。しかし、単に水分を多くとるにはあまり効果はありません。というのも、口から入った水分の多くは小腸で吸収されます。最終的に便に含まれる水分量は、1~5%程度と考えられています。1Lの水分を摂っても、10~50ml程度しか便に含まれません。

          便に水を引き付けるにはマグネシウムが大事です。マグネシウムは豆類や海藻類に多く含まれます。また「硬水」といわれる水にはマグネシウムなどが含まれますので、ただの水ではなく硬水を摂ることをお勧めしています。

          • ③腸の動きが遅い

          腸の動きを速めるには、どうしたらいいでしょうか?腸を動かす筋肉は、全身の筋肉と違ってトレーニングで鍛えるというわけにはいきません。しかし、胃に食事が入ると腸は動こうとします。(胃腸反射)つまり「1日3食食べることが、胃にものを入れることが、腸を動かす」ことにつながります。また朝起きて、コップ1杯の水を飲むのも便秘に効くことがあります。(上記のように水分がそのまま便に行くわけではなく、あくまで胃に刺激を与えるためです)

          他には、食事で油を摂ることも腸を刺激することになります。古来から日本ではヒマシ油を便秘治療に使うことがありました。ヒマシ油は消化されず小腸を刺激させ、それによって便秘を改善する効果があります。またヨーロッパでは、オリーブオイルを飲んで便秘を改善させる方法もあるようです。おすすめの油はn-3系といわれるエゴマオイルやアマニオイルです。逆に避けてほしい油は、動物性脂肪や、何回も使って酸化した油です。

          • ■おすすめの食材

          おすすめの食材を紹介します。

          以下のものは、スーパーでも手に入れやすく、保存も効きます。
          切り干し大根 ②ひじき ③きんぴらごぼう ④納豆

          切り干し大根には、食物繊維が豊富に含まれます。
          ひじきにはマグネシウムが含まれます。これに豆類も一緒に入れると、なお効果的です。
          ごぼうにも食物繊維が豊富に含まれます。
          納豆のねばねば成分には水溶性繊維が含まれます。また納豆菌は善玉菌の栄養素である糖分を作る作用があります。またたんぱく質も摂れるため栄養価も高いです。
          食事は毎日のことですので、自分が好きなもの、高くないもの、手に入れやすいものを使うことが大事です。ぜひ、これまで学んだことを日々の食生活に取り入れて、便秘を解消できるように願っています。

          • ■最後に2つだけ注意があります。

          1つ目は「大腸がんがないことを確認しておく」ことです。40代を超えると、大腸がんの可能性が高くなります。大腸がんが原因の便秘に対して食事指導をしていても改善しません。
          40代を超えて便秘になってきた人は、一度は大腸カメラを受けておくようにしましょう。

          2つ目は「食事だけで難しかったら、病院に相談する」ことです。食事はもちろん大事ですが、食事だけで難しかったら病院に相談してみてください。時々、市販の下剤や、センナなどのお茶を自分で調べて服用されている方がいます。これらは“刺激性下剤”といわれるもので、大腸を強制的に動かすため便は出るのですが、自分本来の蠕動運動が低下してしまいます。本当の便秘腸になってしまうのです。そうなる前に、病院に相談して適切な便秘治療を行いましょう。

           

          大阪本町胃腸内視鏡クリニック

          2022年開業 大阪 堺筋本町⑨出口すぐの内視鏡専門クリニック(森ノ宮胃腸内視鏡ふじたクリニックの分院)
          鎮静剤麻酔を使った苦しくない胃カメラ、痛くない大腸カメラを行っています。
          胃がんの撲滅のためにピロリ菌治療、大腸がんの撲滅のために大腸ポリープ手術(日帰り)を積極的に行っています。
          また2023年6月より肥満外来を行っています。
          肥満は生活習慣病の原因となるだけでなく、がんのリスクを高めることも分かっています。

          森ノ宮胃腸内視鏡ふじたクリニック

          鎮静剤を使った楽な胃カメラ、鎮痛剤を使った痛くない大腸カメラをしている内視鏡専門クリニックです。2016年に開業し、年間約4000件の内視鏡検査を行っています。
          JR森ノ宮駅直結、地下鉄森ノ宮駅から徒歩3分の好立地、大阪市内で京橋、玉造、東大阪からもアクセス良好です。
          初めての検査で不安なかたや、他の病院でしんどかったかたは、ご気軽に相談下さい。

          当院では、積極的に胃腸に関する情報を提供しています。
          日常生活にお役立ちする情報ですので、是非ともごらんください。

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