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2023.09.06

潰瘍性大腸炎について徹底解説 原因、診断、治療まで解説

医療法人幸生会 理事長の藤田です。

今回のテーマは「潰瘍性大腸炎」

この病気は、若い人を中心に年々増加しており、普段の診療でも見かけます。
私が医師になったころはまだ少なく、さらに50年前では「幻の病気」と言われていましたが
今では日本だけでも20万人以上の方が罹患する「現代病」となっています。

 

【潰瘍性大腸炎とは】

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜にびらんや潰瘍をおこす原因不明の慢性腸炎です。

主な症状は、血液混じりの下痢や血便(粘血便)、腹痛、発熱などがあります。

 潰瘍性大腸炎の患者さんは年々増加しており、2019年時点で20万人を超えています。

若い人(ピークは男性で20~24歳、女性では25~29歳)で発症しやすい病気ですが、50代でも認めることがあります。
男女比は1:1で性別に差はありません。

 

【症状】

持続する血便(粘血便でレンガ色のねっとりとした出血)、下痢、腹痛があり、重症になると、発熱、体重減少、貧血、穿孔(腸に穴があく)を起こすこともあります。また長期間(10年以上)の罹患で大腸がんのリスクが出てきます。

軽症の場合は症状がないこともあり、便潜血陽性となり大腸内視鏡検査をして偶然発見されることもあります。

 症状は再燃と寛解を繰り返すのも特徴の一つです。

(潰瘍性大腸炎には活動期と寛解期があります。活動期は血便などの症状があり、内視鏡でも腸に炎症がある状態です。寛解期は炎症が治まり、症状もなく大腸内視鏡検査でも炎症が消失している状態です)

 

また潰瘍性大腸炎は腸以外にも症状が出ることがあります。関節炎、壊疽性膿皮症、口内炎などの間接、皮膚、粘膜に炎症を起こすことがあります。

 

【原因】

原因は今なお不明で、自己免疫異常、腸内細菌、食生活習慣(食の欧米化)ストレスなどが関与していると考えられています。家族性に発症することもあり、何らかの遺伝子因子が関与していると考えられています。遺伝子因子と食生活などの環境因子が複合的に関与していると考えられています。 

 

【診断、検査】

まずは問診(症状やその経過)、大腸内視鏡(生検組織検査)、便培養が行われます。

潰瘍性大腸炎は、一般的には直腸(肛門の近く)から発症し 次第に口側に広がることが多いとされています。内視鏡の典型像では診断がつきやすいですが、細菌性腸炎や薬剤性腸炎とも内視鏡所見が似ているため診断は困難なこともあります。その場合、臨床の経過を見ていくことも大切です。(例えば、細菌性腸炎は一過性であるため、時間経過で消失します)

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【分類】

分類には■部位別 ■症状別と分かれています。

  • ■部位(病変の広がり)による分類

潰瘍性大腸炎は直腸から大腸の口側に連続的に病気が進行すると考えられています。

そこで、直腸だけに炎症のある「直腸炎型」、直腸やS状結腸などに炎症のある「左側結腸炎型」、全大腸に炎症のある「全大腸炎型」に分類されます。

  • ■症状など臨床的な重症度分類 

症状(排便回数、血便の有無、発熱の有無)や検査結果(貧血の有無、頻脈の有無、炎症反応の有無)によって、軽症、中等症、重症と分かれています。

 

【治療】

炎症の部位や 重症度、症状によって変わります。        

また潰瘍性大腸炎は原因不明の難病であり、「完治」することがないと考えられており、治療を続けて炎症を抑え続けることが重要です。

 ●軽症の場合

5ASA製剤と言われる炎症を抑える薬が使われます。基本的には内服薬(リアルダ、アサコール、ペンタサ、サラゾピリン)が用いられます。直腸に炎症が残る場合や座薬を併用したり、左側結腸に炎症が残る場合は注腸剤を併用することがあります。

5ASA製剤で大事なことは「いかに成分を腸の粘膜にたどり着かせたか」によって効果に差が出ます。薬の投与量が多いほど効果が高くなり、少ないと効果が落ちます。治療をキチンと続ける(コンプライアンスを守る)ことがとても大切です。

 ●中等症の場合

5ASA製剤に加えて、ステロイドが使われることがあります。

ステロイドには内服薬と注射があります。ステロイドには炎症を強力に抑える作用がありますが、一方で副作用も認められます。易感染性、糖尿病、消化性潰瘍、満月様顔貌、中心性肥満、高血圧、高脂血症、白内障、骨粗しょう症など、様々な副作用があります。

ステロイドは炎症をぐっと抑える寛解導入作用はありますが、寛解維持といって炎症を抑え続ける効果はありません。むしろ副作用がでるため、短期的に用いられます。

 

そのほかにも血球成分除去療法(透析のような機械で、血液中の炎症を起こす成分を除去して血液を戻す治療)や、生物学的製剤など様々な治療が開発されてきています。

 

●重症の場合

入院治療となり、絶食点滴治療が行われます。ステロイドの点滴を含め集学的治療が行われます。

重症の場合(出血がひどい、穿孔を伴うなど)や内科的治療で治らない場合、がんが併発している場合は外科手術が優先されることがあります。その際は大腸全摘手術が行われます。

 

ステロイドでも効かない(ステロイド抵抗例)、ステロイドを止めると再燃する(ステロイド依存例)を治療難治例とされ、免疫抑制剤や生物学的製剤などが使われます。

 治療方針としては厚生労働省から「研究班の治療指針案」が発表されているため、標準的な治療はどの病院にいっても変わりがありません。ただし、新しい治療法が近年次々と開発されており、病院によっても治療法が異なることがあります。

 

【潰瘍性大腸炎と大腸がん】 

潰瘍性大腸炎の罹患期間が長い、炎症の持続時間が長いと大腸がんになるリスクが増えます。診断がついてから10年以上たつと大腸がんの罹患率が高くなります。

潰瘍性大腸炎からの大腸がんは、通常の大腸がんと異なり、大腸の炎症のあるところのどこから癌細胞がでてもおかしくありません。また癌細胞が粘膜の下で広がることもある事より、潰瘍性大腸炎から発症した大腸がんでは大腸全摘手術が行われます。

【最後に】

潰瘍性大腸炎は、原因不明の慢性腸炎で若い人を中心に、今なお増え続けている病気です。
命に関わることはあまりありませんが、完治する病気ではないため治療を続けていくことが重要です。常に新しい情報を学んで、より効果の高い、副作用の少ない治療を続けることが大切です。

 

 

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2022年開業 大阪 堺筋本町⑨出口すぐの内視鏡専門クリニック
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