ロキソニンで胃に穴ができる？
知らないと怖い副作用と胃潰瘍の関係
☑️ロキソニンで胃潰瘍になるって知ってますか？
胃十二指腸潰瘍の二大原因は、ピロリ菌と ロキソニンに代表されるNSAIDs（非 ステロイド性抗炎症薬）と言われる解熱鎮痛剤です。
ロキソニンやボルタレン、イブは鎮痛剤として有名ですね。皆さんも発熱時や、疼痛時に1度は使われたことがあると思います。
ロキソニンは薬局でも、病院で処方されるものと同容量のものを 購入することができます。 ただし1日3回長期間服用していると胃や十二指腸潰瘍の原因となります。
今回はロキソニンなどの解熱鎮痛剤の副作用、特に胃腸に関するものを解説したいと思います。
☑️そもそも、ロキソニンがなぜ解熱鎮痛効果があるのか？
NSAIDsは、COX(シクロオキシゲナーゼ） と言う酵素に結合し、PG(プロスタグランジン）の産生を抑えます。
COXには 1と2があります。
COX１由来のPGには、 胃や十二指腸粘膜の保護作用、血小板凝集抑制作用があります。
COX２由来のPGには、 炎症や疼痛を引き起こす作用があります。
NSAIDsはCOX2を 阻害することでPGの産生を抑えて抗炎症作用とともに鎮痛作用を発揮します。
☑️ロキソニンの適応症
ロキソニンは解熱鎮痛作用を発揮することより様々な病気で適応があります。
リウマチや変形性関節症などの痛み、 術後の疼痛やがんによる疼痛、 発熱をきたす疾患に対して幅広く適応があります。
また抗血栓作用を認めることより脳梗塞や一過性脳虚血発作に対して、低用量アスピリンが適応となっています。
☑️ロキソニンと胃潰瘍の関係
ロキソニンには様々な副作用はありますが、最も多い副作用は胃腸障害で1〜
5%と高頻度に出現します。
胃腸障害や潰瘍を起こす機序としては、 COX1阻害による胃粘膜保護作用の低下により胃酸によるダメージを起きやすくなるためと考えられています。
怖いのは、たとえ胃十二指腸潰瘍が起こったとしても、NSAIDsによる鎮痛作用があるため症状が隠れてしまい、発見が遅れることがあります。
潰瘍から出血を起こし、吐血や黒色便といった症状で発見されることがあります。また最悪のケースでは穿孔（胃や十二指腸に穴が開く）してしまうこともあります。 穿孔すると、胃酸や腸液、食べ物やバイ菌が広がり腹膜炎を発症し、命に関わることがあります。
☑️潰瘍以外の副作用
NSAIDsには潰瘍以外にも様々な副作用があります。
●腎機能障害 急性腎不全、浮腫
高血圧症
肝機能障害
アレルギー、発疹、アナフィラキシーショック
アスピリン喘息発作
☑️NSAIDs潰瘍の危険因子
NSAIDs 潰瘍を起こしやすい危険因子があります。
●胃十二指腸潰瘍の既往歴
●ピロリ菌感染者
十二指腸潰瘍の最大の原因はピロリ菌感染です。ピロリ菌感染単独でも潰瘍の 発生リスクは高いのですが、NSAIDs服用で潰瘍発生リスクはさらに3倍から6倍高くなります。
ピロリ菌感染者はまずは除菌治療をすることが非常に重要です。
●高齢者（70歳以上）
高齢者はピロリ菌感染者が多く、上記のように潰瘍発生リスクが高くなります。
また慢性腎不全により腎機能が低下していると、NSAIDsの 成分が尿として排泄が遅れるため副作用が現れやすくなります。
●複数または高容量のNSAIDs服用
●ステロイドの併用
☑️どうしても、NSAIDsを服用する時はどうしたらいいのか？
リウマチのような 慢性疾患による疼痛コントロールには、NSAIDsが 欠かせないケースがあります。そのような場合は副作用を考えてCOX2阻害薬（セレコキシブ）を 選択することがあります。
セレコキシブも鎮痛効果はロキソニンとほぼ同等です。セレコキシブは 即効性はロキソニンなどに劣りますが、持続時間が長いため関節痛や慢性通生には向いています。
ただし心血管リスクが多少あるので、 心筋梗塞や脳卒中の起用ある方には慎重投与となります。
また制酸剤を併用して潰瘍の発生リスクを下げることもあります。
☑️まとめ
今回はロキソニンなどの解熱鎮痛剤の効果と副作用について解説しました。
ロキソニンは解熱鎮痛作用の即効性があり、頓服で使うにはとても使いやすい薬です。
ただし長期服用は胃腸障害を引き起こし潰瘍を引き起こす可能性があります。
長期間使うような症状がある場合は、きちんと医師の診断を受け、 薬の効果と副作用について知っておいてください。
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