ピロリ菌の検査と治療について
はじめに
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、日本人に非常に多く感染している細菌で、感染者は2000万人とも3000万人とも推定されています。
胃がん・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・慢性胃炎など多くの胃の病気と深く関係しています。胃がんの原因の95%はピロリ菌と言われ、WHOでもピロリ菌は「胃がんの確率な発ガン因子」と認定されています。
近年では「ピロリ菌を早期に見つけて除菌することが、胃がん予防につながる」ことが明らかになっており、検査と治療の重要性が広く知られるようになってきました。
このブログでは、
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⚫️ピロリ菌とは何か
⚫️ピロリ菌検査の種類と特徴
⚫️ピロリ菌治療(除菌治療)の流れと注意点
⚫️ピロリ菌検査のよくある質問
⚫️ピロリ菌治療のよくある質問
について、一般の方にも分かりやすく、かつ医療的に正確な情報を詳しく解説します。
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)とは
ピロリ菌の正体
ピロリ菌は、胃の中にすみつく細菌です。通常、胃の中は強い胃酸によって細菌が生きられない環境ですが、ピロリ菌はウレアーゼという酵素を産生し、胃酸を中和することで胃の粘膜に定着します。
ピロリ菌感染が起こる時期
多くの場合、幼少期(5歳以下)に感染すると考えられています。衛生環境が整う前の日本では感染率が高く、特に高齢者ほど感染率が高い傾向があります。
どのような経路で、ピロリ菌が体内に入ってくるかは未だにわかっていません。昔は井戸水の使用が考えられていましたが、現在では子育てによる食育で感染するのではないかと考えられています。
また、ピロリ菌自体は地面などに存在する菌であり、公園の砂場や保育園の床にピロリ菌がいたと言う報告もされています。家庭内環境が似ていると、ピロリ菌の感染率が高くなるのもこういった理由が考えられています。
ピロリ菌感染によって起こる病気
ピロリ菌に感染すると、以下のような病気を引き起こす可能性があります。
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⚫️慢性胃炎(萎縮性胃炎)
⚫️胃・十二指腸潰瘍
⚫️胃ポリープ(過形成ポリープ)
⚫️胃MALTリンパ腫
⚫️胃がん
特に重要なのが、胃がんとの関係です。日本人の胃がんの多くは、ピロリ菌感染を背景に発生するとされています。
ピロリ菌検査の重要性
ピロリ菌に感染していても、自覚症状がない人が非常に多いのが特徴です。そのため、症状がないからといって安心はできません。
ピロリ菌検査を行うことで、胃がんのリスク評価ができる、早期に除菌治療につなげられる、将来の胃の病気を予防できる
といった大きなメリットがあります。
ピロリ菌検査の種類
ピロリ菌検査にはいくつかの方法があり、それぞれに特徴があります。
① 尿素呼気試験
検査用の薬を服用し、呼気(息)を袋に吐いて調べます。
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(特徴)精度が高い/身体への負担が少ない/除菌判定にも使用される
- (注意点)制酸剤や抗生剤を内服していると、検査結果が偽陰性になることがあります。
② 便中ピロリ菌
抗原検査便を採取して、ピロリ菌の抗原を調べます。
(特徴)非侵襲的(体への負担が少ない)除菌判定にも使用可能
③ 血液検査(ピロリ菌抗体検査)
採血により、ピロリ菌に対する抗体の有無を調べます。
(特徴)簡便に検査できる
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(注意点)
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過去の感染も陽性になることがある。ピロリ菌に過去に感染していない方でも、抗体が陽性になることがしばしばあります(学会でも注意喚起されています。)
④ 胃カメラ(内視鏡)による検査
胃カメラで胃粘膜を観察し、組織を採取して調べます。
(特徴)胃の状態を直接確認できる/萎縮性胃炎や胃がんの評価が可能
(注意点)
偽陰性(たまたまピロリ菌がいてない部分の組織を摘んだ)リスクがあります。また制酸剤を内服しているとピロリ菌の活動性が落ちるため、偽陰性になることがあります。
大阪本町胃腸内視鏡クリニックのピロリ菌検査
当院では、患者さんの状態や目的に応じて最適なピロリ菌検査をご提案しています。
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☑️胃カメラと同時にピロリ菌検査が可能
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☑️鎮静剤を使用した苦痛の少ない寝ている間の内視鏡検査
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☑️ピロリ学会認定医による診療
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ピロリ菌治療(除菌治療)とは
ピロリ菌除菌治療の目的
ピロリ菌除菌治療の目的は、胃炎の進行を抑える胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発を防ぐ、胃がんの発症リスクを減らすことにあります。
ピロリ菌除菌治療の方法
一次除菌
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胃酸を抑える薬と2種類の抗生物質を7日間服用します。この間は禁煙する必要があります。
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二次除菌
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胃酸を抑える薬と2種類の抗生物質を7日間服用します。一次除菌とは異なる抗生剤を内服します。この間はアルコールは禁止です。(吐き気やめまいなどの強い副作用が発生するため)
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除菌成功率
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一次除菌:約70〜80%
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二次除菌:約90%以上
多くの方が除菌に成功します。
二次除菌でもピロリ菌が除菌できなかった場合、三次除菌などがあります。一次、二次除菌治療は保険が適用されますが、三次除菌治療以降は保険が認められず自費診療になります。
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ピロリ菌検査のよくある質問(FAQ)
Q1. ピロリ菌検査は保険適用ですか?
胃炎や胃潰瘍などが疑われる場合、保険適用となります。ただし注意点があり、胃カメラで胃がんがないかを確認することが必須です。
Q2. 症状がなくても検査した方がいいですか?
はい。無症状でも感染していることが多いため、検査をおすすめします。
Q3. 何歳から検査できますか?
成人であれば検査可能です。若い方でも将来の胃がん予防のために重要です。
Q4. ピロリ菌検査は痛いですか?
尿素呼気試験や便検査は痛みはありません。胃カメラも鎮静剤で楽に受けられます。
ピロリ菌治療のよくある質問(FAQ)
Q1. 除菌治療はつらいですか?
一時的に下痢や味覚異常が出ることがありますが、多くは軽度です。
Q2. 除菌後はもう胃がんになりませんか?
リスクは下がりますが、ゼロにはなりません。定期的な胃カメラが重要です。
Q3. 除菌後の判定はいつ行いますか?
治療終了から約4〜8週間後に行います。
Q4. 再感染することはありますか?
日本では再感染率は非常に低いとされています。
まとめ|ピロリ菌検査と治療で将来の胃がん予防を
ピロリ菌は放置すると胃がんをはじめとする重大な病気につながる可能性があります。しかし、適切な検査と治療を行えば、リスクを大きく下げることが可能です。
大阪本町胃腸内視鏡クリニックでは、ピロリ学会認定による最新の知見に基づいた正しい検査と治療、内視鏡専門医による確かな内視鏡診断、鎮静剤麻酔を使った寝てる間の楽な胃カメラ検査を行っています。
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森ノ宮胃腸内視鏡ふじたクリニック、大阪本町胃腸内視鏡クリニックについて
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当法人では「大阪から胃がん、 大腸がんを撲滅する」 と目標に掲げています。
森ノ宮胃腸内視鏡ふじたクリニック、大阪本町胃腸内視鏡クリニックともに、 胃カメラ大腸カメラを専門とする内視鏡クリニックです。 鎮静剤麻酔を使った楽な胃カメラ、大腸カメラを行っています。
消化器内視鏡専門医による高精度かつ苦痛の少ない内視鏡検査を通じて、胃がんや大腸がんの早期発見と予防を目指しています。
胃がんの原因の多くはピロリ菌感染です。大腸がんの原因の多くは大腸ポリープ(腺腫)です。
ピロリ菌の除菌治療をすることで胃がんの予防につながります。大腸ポリープを切除することで大腸がんの予防につながります。当法人では ピロリ学会認定、 内視鏡学会専門医が診断と治療に当たっています。
胃もたれ、胸焼け、腹痛、便秘や下痢、血便などの症状は、早期に内視鏡検査を受けることで深刻な病気の予防につながります。特に40歳以上の方には定期的な胃カメラや大腸カメラの受診をお勧めしています。
【森ノ宮胃腸内視鏡ふじたクリニック】
2016年に開業し、年間約4000件の内視鏡検査を行っています。
JR森ノ宮駅直結、地下鉄森ノ宮駅から徒歩3分 ビエラ森ノ宮3階
胃カメラ・大腸カメラの予約はコチラ:https://junnavi.com/morinomiya-naishikyo/sindex.html
ホームページ:https://www.morinomiya-naishikyo.com
公式LINE:https://page.line.me/245ubgqw
【大阪本町胃腸内視鏡クリニック】
2022年に開業し、年間4000件の内視鏡検査を行っています。
内視鏡検査や診察は全て完全予約制です。
胃カメラ・大腸カメラの予約はコチラ:https://junnavi.com/honmachi/
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