便潜血陽性と言われたら必ず読むべき理由
健康診断や人間ドックで「便潜血陽性」と指摘され、不安になった方も多いのではないでしょうか。
しかし実際には、「症状がないから大丈夫」「痔があるから問題ない」「もう一度検査すれば陰性になるかもしれない」と考えてしまい、精密検査(大腸カメラ)を受けない方が少なくありません。
実際、日本では便潜血陽性と指摘された方のうち約半数が精密検査を受けていないと言われています。これは非常にもったいないことです。なぜなら便潜血検査は大腸がんを早期発見するための重要な検査だからです。
便潜血陽性の方の中には、大腸ポリープ、大腸がん、炎症性腸疾患などの病気が見つかることがあります。大腸がんは日本で非常に多いがんですが、早期に発見すれば高い確率で治るがんです。そして、その早期発見のきっかけになるのが便潜血検査です。
この記事では、消化器内視鏡専門医の立場から、
⚫︎便潜血検査とは
⚫︎便潜血陽性の原因
⚫︎大腸がんの可能性
⚫︎大腸カメラ検査の必要性 について詳しく解説します。
便潜血検査とは
便潜血検査とは、便の中に目に見えない血液が混ざっていないかを調べる検査です。「潜血」とは肉眼では見えない微量の出血を意味します。
消化管から出血すると、血液が便に混ざることがあります。しかし少量の出血では見た目では分からないことがほとんどです。そのため便潜血検査で微量の血液を検出します。
どれぐらい微量の血液を検出できるかと言うと、浴槽に水を張って血液を吸う滴垂らすだけでも便性潜血検査は陽性となります。それぐらい鋭敏な検査なのです。
現在、日本の大腸がん検診では免疫法便潜血検査(FIT)が使用されています。この検査は、ヒトヘモグロビンに反応する検査であり、主に大腸からの出血を検出します。胃潰瘍や胃がんなど上部消化管の出血には、胃酸の影響を受けて、血液が変性してしまうため反応しにくいという特徴があります。またヒトの血液に反応する検査のため、生肉を食べたから、便潜血が陽性となることもありません。
なぜ便潜血検査は2回行うのか
多くの検診では2日法と呼ばれる方法が採用されています。これは2回分の便を提出する検査です。なぜ2回必要なのかというと、大腸の病変からの出血は毎回起こるわけではないためです。例えば、ポリープ、早期がんなどでは出血が断続的に起こります。そのため1回だけ検査すると偶然陰性になる可能性があります。2回検査することで検出率を高めることができます。
回数を多くすればそれだけ大腸がんの人を多く見つけることが可能なのですが、それ以上に癌ではない人も陽性と診断されてしまいます。そこで3回法ではなく2回法を用いています。
また1回でも陽性であれば異常であり、「3回目を行って陰性」だからといって精密検査を受けないで良いと言うわけにはいきません。
日本では大腸がんが増えている
日本では現在、大腸がんは非常に多いがんとなっています。統計によると男性のがん罹患数、女性のがん罹患数、いずれでも上位に位置するがんです。特に女性ではがん死亡原因の1位となっています。
その背景には、食生活の欧米化、高齢化、運動不足などがあります。しかし大腸がんには大きな特徴があります。それは早期発見すれば治る可能性が高いがんということです(大腸癌は、癌の中でも5年生存率が高い部類に入ります)。そのため便潜血検査による早期発見が非常に重要になります。
便潜血陽性の原因
便潜血陽性の原因は大腸がんだけではありません。様々な原因で
便に血液が混ざることがあります。
ここでは主な原因を解説します。
①大腸ポリープ
便潜血陽性の原因として比較的多いのが大腸ポリープです。大腸ポリープとは大腸の粘膜にできる隆起性の病変です。ポリープの中には腺腫(せんしゅ)と呼ばれるものがあります。この腺腫は時間の経過とともに大腸がんへ進行する可能性があります。この過程はadenoma-carcinoma sequenceと呼ばれています。大腸がんの多くは、この腺腫が大きくなってできていると考えられています。
つまりポリープの段階で切除すれば大腸がんを予防できるのです。(報告では腺腫を切除することで、9割の大腸癌が予防できるとされています)
②大腸がん
便潜血検査の最大の目的は大腸がんの早期発見です。大腸がんは初期にはほとんど症状がありません。そのため健康診断(便潜血検査)によって見つかることが多いです。進行すると、血便、便が細くなる、腹痛、貧血などの症状が出ることがあります。しかし症状が出る頃には病気がかなり進行していることもあります。そのため症状がない段階での検査が重要です。
便潜血検査を受けることで、より早く大腸癌の発見につながります。
③痔(痔核)
痔があると排便時に出血することがあります。そのため便潜血検査が陽性になることがあります。しかし「痔があるから安心」というわけではありません。実際には痔と大腸がんが同時に存在することもあります。
筆者もこれまで痔だろうと放置していた結果、進行した直腸癌が見つかったと言う患者さんを何人も見てきました。そのため、便潜血陽性の場合は大腸カメラ検査が必要です。
④大腸憩室
大腸の壁が袋状に膨らむ病気を大腸憩室といいます。日本では高齢者に多く、出血の原因になることがあります。憩室出血は突然大量の血便として現れることもあります。
⑤炎症性腸疾患
若い方の便潜血陽性では、潰瘍性大腸炎、クローン病などの炎症性腸疾患が見つかることもあります。これらの病気は慢性的な炎症を起こす病気であり、下痢、血便、腹痛などの症状が出ることがあります。
炎症性腸疾患の患者数は増加傾向にあり、300,000人以上の方が罹患されています。また治療法も年々新し治療薬が開発されています。
便潜血陽性の大腸がんの確率
便潜血陽性と言われると「大腸がんなのでは?」と心配になる方も多いと思います。実際のデータでは便潜血陽性者の中で
☑️約3〜5% → 大腸がん
☑️約30〜40% → 大腸ポリープ
が見つかると言われています。つまり完全に問題がないとは言えない確率です。特に2回陽性、高齢、大腸がんの家族歴ありの場合はリスクが高くなります。
便潜血1回陽性でも検査は必要
患者さんからよく聞かれる質問があります。「1回だけ陽性ですが大丈夫ですか?」答えは「大腸内視鏡検査が必要」です。なぜなら、ポリープやがんの出血は断続的だからです。ある日は出血していても、別の日には出血していないことがあります。そのため1回でも陽性なら精密検査が推奨されています。
便潜血陽性を放置するとどうなる?
便潜血陽性を放置すると、もし大腸がんがあった場合進行する可能性があります。大腸がんは粘膜内がん、早期がん、進行がんと徐々に進行します。早期で見つかれば内視鏡治療で完治します。しかし進行すると手術や抗がん剤などの治療が必要になります。大腸癌は比較的予後の良い癌の1つと言われますが、ステージ4になるとやはり予後は厳しいものがあります。そのため早期発見が非常に重要です。
精密検査は大腸カメラ
便潜血陽性の精密検査は大腸カメラ(大腸内視鏡)です。CT検査では小さなポリープや早期がんは見つからないことがあります。
大腸カメラでは大腸粘膜を直接観察、ポリープ発見すれば組織検査や内視鏡的ポリープ切除手術が可能です。
大腸カメラ検査の流れ
大腸カメラ検査は以下の流れで行います。
前日
21時までに消化の良い食事
眠前に下剤内服
当日
朝食は抜き
腸管洗浄剤(当院の場合はサルプレップ480ml)を服用
検査
内視鏡挿入(当院では鎮静剤や鎮痛剤を点滴)
検査時間
約10〜20分
大腸カメラは痛い?
多くの方が心配されるのが検査の痛みです。最近では鎮静剤を使用した内視鏡検査が一般的です。鎮静剤を使用すると眠ったような状態、検査の記憶が少ない状態で検査が可能です。
大腸ポリープ切除でがん予防
大腸がんの多くはポリープ(腺腫)から発生します。そのためポリープを切除することで大腸がんを予防することができます。これは他のがんにはない特徴です。つまり大腸カメラはがんの早期発見だけでなく、予防の検査とも言えます。
まとめ
便潜血陽性は大腸の病気を見つける重要なサインです。原因には大腸ポリープ、大腸がん、痔、大腸の炎症などがあります。しかし原因を調べるには大腸カメラ検査が必要です。
大腸がんは早期発見で治る可能性が高いがんです。便潜血陽性と言われた場合は放置せず早めに大腸カメラ検査を受けましょう。
よくある質問(FAQ)
Q1 便潜血陽性は大腸がんの可能性が高いですか?
便潜血陽性の方のうち大腸がんが見つかる割合は約3〜5%です。しかしポリープは約30%程度見つかるため、精密検査は重要です。
Q2 便潜血が1回だけ陽性でも検査は必要ですか?
はい。1回でも陽性の場合は精密検査が推奨されています。
Q3 痔がある場合は検査不要ですか?
痔があっても大腸がんが隠れている可能性があります。検査を受けることが重要です。
Q4 大腸カメラはどれくらい時間がかかりますか?
検査自体は10〜20分程度です。前処置や回復時間を含めると数時間程度になります。
Q5 ポリープが見つかったらどうなりますか?
多くの場合、検査中にその場で切除することが可能です。
医師監修
森ノ宮胃腸内視鏡ふじたクリニック
消化器内科
消化器内視鏡専門医
当院では胃カメラ・大腸カメラによる消化器疾患の診断と治療を専門に行っています。患者様に負担の少ない内視鏡検査を提供し、早期発見・早期治療を目指しています。
医療法人 幸生会について
当法人では「大阪から胃がん、 大腸がんを撲滅する」 と目標に掲げています。森ノ宮胃腸内視鏡ふじたクリニック、大阪本町胃腸内視鏡クリニックともに 内視鏡専門クリニックです。 鎮静剤麻酔を使った楽な胃カメラ、鎮痛剤を使った痛くない大腸カメラを行っています。
消化器内視鏡専門医による高精度かつ苦痛の少ない内視鏡検査と診断によって、胃がんや大腸がんの早期発見と予防、撲滅を目指しています。
【森ノ宮胃腸内視鏡ふじたクリニック】
2016年に開業し、年間約4000件の内視鏡検査を行っています。
JR森ノ宮駅直結、地下鉄森ノ宮駅から徒歩3分 ビエラ森ノ宮3階
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【大阪本町胃腸内視鏡クリニック】
2022年に開業し、年間4000件の内視鏡検査を行っています。
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