便秘の原因とは?危険な便秘の見分け方と治療法を消化器専門医が解説
便秘は多くの人が経験する身近な症状です。日本では成人の約10〜15%が慢性的な便秘に悩んでいるといわれています。
「数日間便が出ない」
「お腹が張って苦しい」
「便秘薬が手放せない」
このような症状が続くと、日常生活の質が大きく低下します。便秘の多くは生活習慣が原因ですが、大腸がんや腸の病気が隠れている場合もあります。
特に
・急に便秘になった
・便が細くなった
・血便がある
・50歳以上で便秘が続く
といった症状がある場合には注意が必要です。
この記事では、消化器専門医の立場から、便秘の原因、危険な便秘の見分け方、便秘の検査、便秘の治療法、便秘を予防する生活習慣について分かりやすく解説します。
また、大阪市で大腸カメラ検査を検討している方にも参考になる内容となっています。
便秘とは
医学的には、便秘は単に「何日に1回しか便が出ない」「排便回数が少ない状態」だけではありません。
便秘は「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と「便通異常症診療ガイドライン2023(慢性便秘症・慢性下痢症)」において明確に定められています。
単に「回数が少ない」ことだけではなく、出す際の手間やスッキリしない感覚も含めた「排便の質の低下」を重視しているのが特徴です。
また、ダイエットなどで食事量が少なく、便自体が作られていない場合は便秘とは言いません。
便秘の主な症状
便秘になると、次のような症状が現れることがあります。
排便に関する症状
・便が出ない
・便が硬い
・便がコロコロしている
・排便に時間がかかる
腹部症状
・お腹の張り
・腹痛
・ガスが溜まる
・食欲低下
全身症状
・吐き気
・倦怠感
・肌荒れ
便秘は単なる排便の問題だけでなく、全身の不調につながることもあります。
便秘の原因
便秘にはさまざまな原因があります。
①生活習慣による便秘
最も多い原因は生活習慣です。
・食物繊維不足
食物繊維は便の量を増やし、腸の動きを促します。不足すると便が硬くなり、便秘になりやすくなります。1日約25gの食物繊維摂取が推奨されていますが、調査によると現代の日本人は1日17g程度と目標の2/3の量しか摂取できていません。
・水分不足
水分が不足すると便が硬くなり、排便が困難になります。
夏は汗をかくことによる脱水、冬は乾燥による脱水に注意が必要です。また歳をとると野菜や水分の摂取量も少なくなり、便秘にやりやすくなります。
・運動不足
運動不足は腸の動きを低下させます。デスクワーク中心の生活では便秘になりやすくなります。
・ストレス
ストレスは自律神経のバランスを崩し、腸の動きを低下させることがあります。(一般的には緊張して交感神経が働くと胃腸の納期が抑えられます。女性の場合は生理周期に合わせて、黄体ホルモンが分泌されると便秘になりやすくなります。更年期の場合は自律神経の乱れによって、便秘や下痢などの便通異常を起こすことがあります。
②加齢による便秘
年齢を重ねると腸の動きが弱くなり、便秘が起こりやすくなります。大腸の蠕動運動も筋肉で動かしていますが、加齢とともに全身の筋肉同様、腸の筋肉も動きが弱まります。特に男性でその傾向が顕著であり、70代を超えると、女性より男性の方が便秘の罹患率が高くなります。
③薬による便秘
次のような薬は薬の副作用で便秘の原因になることがあります。
・抗うつ薬
・鎮痛薬(麻薬系)
・鉄剤
・咳止め(麻薬系)
・抗コリン薬
薬を服用している場合は医師に相談することが重要です。
④病気による便秘
便秘の背景には病気が隠れていることがあります。
便秘の原因となる病気
・大腸がん
・大腸ポリープ
・腸閉塞
・甲状腺機能低下症
・糖尿病
特に注意が必要なのは大腸がんです。
危険な便秘のサイン
次のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
危険な便秘
☑️急に便秘になった
☑️血便がある
☑️便が細くなった
☑️体重減少
☑️50歳以上で初めての便秘
これらは大腸がんなどの病気のサインの可能性があります。
便秘と大腸がんの関係
便秘だけで大腸がんと診断されることは多くありません。疫学的調査では、便秘の人に大腸癌が多いと言うデータは今のところありません。
しかし、大腸がんが進行すると
・便が細くなる
・便秘と下痢を繰り返す
・血便が出る などの症状が現れることがあります。
そのため、気になる症状がある場合には大腸内視鏡検査(大腸カメラ)が重要です。
便秘の検査
便秘の原因を調べるために、次のような検査が行われます。
問診
生活習慣や症状の経過、現在内服中の薬、手術の既往歴などを詳しく確認します。これまで、大腸カメラやCTなどを行ったかなどの検査歴も重要です。
血液検査
貧血の有無や、甲状腺の異常などを調べることがあります。
レントゲン
腸内のガスや便の状態を確認します。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
大腸カメラは、大腸の内部を直接観察する検査です。この検査では
・大腸がん・大腸ポリープ・炎症性腸疾患などを調べることができます。特に、40歳以上の便秘で血便がある場合には、大腸カメラ検査が推奨されます。
大阪市で大腸カメラ検査を検討している方は、消化器専門クリニックへの相談をおすすめします。
便秘の治療
便秘の治療は原因に応じて行われます。
生活習慣の改善
・食物繊維を摂る(野菜、海藻、豆類、果物)
食物繊維には不溶性と水溶性の2種類があります。両方とも大事ですが、特に水溶性繊維が重要です。水溶性繊維は、わかめや山芋などのねばねば成分に豊富に含まれます。
注意することは、不要性繊維を取りすぎると、便が硬くなり余計にお腹が苦しくなる可能性があると言うことです。いきなり大量の食物繊維を取る事は避けるようにしましょう。
・水分をしっかり摂る:1日1.5〜2L程度の水分を摂取することが推奨されています。ただし普段の食事や水分摂取でも1日1.5リッター程度の水は摂取していると考えられ、過度に水分を取りする必要はありません。
・運動:ウォーキングなどの軽い運動は腸の動きを改善します。1日15分から30分程度のウォーキングを進めています。またウォーキングはストレス解消にもつながります。
・排便習慣:朝食後は腸が動きやすいため、トイレに行く習慣をつけましょう。また便意を感じた場合は、できるだけ早くトイレで行き排便を行うようにしてください。便意を強く感じる大蠕動は1日1回程度と言われており、そのタイミングを我慢して逃すと翌日まで便が出なくなることがあります。
便秘の薬
便秘治療では次のような薬が使われます。
浸透圧性下剤
浸透圧の差を利用して、腸管に水を引きつける作用があります。硬い便が柔らかくなります。代表的な薬に「酸化マグネシウム」があります。
他にも病院では「モビコール」が処方されることがあります。
酸化マグネシウムは、高齢者などの腎機能が悪い人の場合には、高マグネシウム血症を起こすことがあります。モビコールはそういった心配はなく、2歳から安全に使うことができます。
刺激性下剤
代表的な薬としては、「コーラック」や「スルーラック」「武田の漢方薬」などがあります。また時々ダイエット目的で「防風通聖散」を飲まれている方がいますが、実はこれも便秘薬です。また病院では「プルゼニド」や「ヨーデル」などの名前で処方されます。
刺激性下剤は腸管運動を直接刺激させるため、即効性があり、効果も高い薬剤です。市販で売っている下剤のほとんどが、この刺激性下剤です。刺激性成分としてダイオウやセンナ、センノシド、ビサコジルなどの成分が含まれています。
ただし刺激性下剤には注意点もあります。
1つ目が刺激が強すぎると、下痢や腹痛などの症状を起こす可能性があることです。2つ目がだんだんと薬が効かなくなることです。
したがって、刺激性下剤は普段から使うことは避け、数日間便が出ずにお腹の症状が出てしんどいときに使うのが理想的です。
新しいタイプの便秘薬
酸化マグネシウムでは効果が弱く、刺激性下剤では強すぎるという場合があります。その場合に、病院では新しいタイプの便秘薬が処方されることがあります。薬品名が「リンゼス」「アミティーザ」「グーフィス」です。これからは腸管内に水分を分泌させたり、腸液の吸収を抑えることで、腸管内に強く水を引きつけて、その力で便を排泄させる作用があります。
この新しいタイプの便秘薬は、刺激性下剤とは違い、薬が効かなくなることは少ないとされています。
「病院で処方される便秘薬について解説YouTubeはこちら」
薬は自己判断ではなく医師の指導のもとで使用することが大切です。
よくある質問
Q1 何日出なければ便秘ですか?
排便回数には個人差がありますが、週3回未満の場合は便秘と考えられることがあります。
Q2 便秘は大腸がんのサインですか?
便秘だけで大腸がんと診断されることは多くありません。ただし、血便や体重減少などの症状がある場合は検査が必要です。
Q3 市販の便秘薬は毎日使っても大丈夫ですか?
長期間の使用は腸の働きを弱める可能性があります。便秘が続く場合は医療機関を受診しましょう。
Q4 食物繊維はどのくらい必要ですか?
成人では25g程度が目安とされています。
Q5 便秘で病院に行くべきタイミングは?
次の症状がある場合は受診をおすすめします。
・血便
・急な便秘
・体重減少
・便が細い
まとめ
便秘は多くの人が経験する症状ですが、その原因はさまざまです。多くは生活習慣によるものですが、
・急に始まった便秘
・血便
・便が細くなる
といった症状がある場合は、大腸の病気が隠れている可能性があります。特に40歳以上の方は、一度大腸カメラ検査を受けることが大切です。大阪市で大腸カメラ検査を検討している方は、消化器専門クリニックへの相談をおすすめします。
早期に検査を受けることで、大腸がんの早期発見・早期治療につながります。
監修
監修
消化器内視鏡専門医
大阪本町胃腸内視鏡クリニック
院長 藤田 実











