1. 大腸がんとは何か|大腸がんの基礎知識
■ 大腸がんとは?
大腸がんとは、大腸(結腸・直腸)の粘膜から発生する悪性腫瘍のことです。
多くは、ポリープ(腺腫)と呼ばれる良性の状態から、時間をかけてがん化します。
特に S状結腸と直腸 に大腸がんができやすいことが知られています。原因もいまだにわかっていませんが、S状結腸と直腸は便が貯留しやすく、何らかの炎症や発がん物質でポリープやガンができるのではないかという説があります。
近年、大腸がんに罹患する人は、増加傾向にあり、年間12万人を超えています。国立がん研究センターの2021年のデータでは約15,5万人が大腸があった診断されています。
男性が8,6万人(2位)で、女性が6,8万人(2位)大腸がんと診断され、総数では癌で最も多い罹患数です。
死亡数は男性2.8 万人、女性2.6万人で大腸癌で亡くなっています。癌での死亡数では肺がんについて2番目に多い癌となっています。女性においては、癌での死亡原因の第1位が大腸がんです。
大腸がんは40歳代から男女とも罹患率が高くなる傾向にあります。生涯のうち、大腸がんと診断される確率は、男性で約10人に1人、女性で約13人に1人です。
■大腸がんのでき方
大腸がんには主に2つの発生パターンがあります。
①良性腫瘍からの変化
多くの大腸がんは、まず大腸の粘膜にできる「腺腫」と言う良性ポリープが、時間をかけて悪性化して癌になることで発生します。
40代から腺腫が増え始め、50代から大腸がんが増え始めます。
②正常粘膜から直接発生
一部の大腸がんはポリープを経ずに、正常粘膜の細胞から直接がん細胞に変化して発生することもあります。ただし、この場合の発生メカニズムはまだ完全に解明されていません。
大腸がんの多くは、①のパターンから発生すると考えられています
■ 日本で大腸がんが増えている理由
日本では大腸がんが急増しており、死亡原因としても上位にあります。
理由としては――
- ☑️食生活の欧米化(高脂肪・高タンパク)
- ☑️肉類の摂取増加
- ☑️野菜・食物繊維の不足
- ☑️運動不足
- ☑️肥満
- ☑️高齢化の進行
などが挙げられます。
■大腸がんの予後
大腸癌は、他のがんと比べて比較的予後が良好な病気だと言われています。近年では、治療法の進歩も著しく、早期発見と適切な治療によって感じが期待されます。
全国的なデータを見ると、大腸がん全体の5年、相対生存率は約73%です。男性では72.4%、女性で70.1%と男女で大きな差はありません。
(ステージ別の5年生存率)
大腸癌の予後は、大腸がんの進行度(ステージ)によって大きく異なります。ステージは、がんの深達度、リンパ節転移の有無、遠隔転移の有無によって、0期からⅣ期まで5段階が分類されます。
|
ステージ |
特徴 |
5年生存率 |
|
0 |
粘膜内にとどまる |
97.6% |
|
Ⅰ |
固有筋層までにとどまる |
94.5% |
|
Ⅱ |
雇用金層を超えて広がっている |
88.4% |
|
Ⅲ |
リンパ節転移がある |
77.3% |
|
Ⅳ |
遠隔転移がある |
15~20% |
上のデータから分かるように、大腸癌はステージ0からⅢ期までであれば比較的予後が良く、0期であればほぼ完治することができます。一方で、ステージⅣの場合、生存率はかなり低くなります。
つまり、いかに早期発見できるかが予後を決めると言うことです。
■ 大腸がんは「予防・早期発見」ができるがん
大腸がんの大きな特徴は、内視鏡検査により予防・早期発見が可能 な点です。
- ポリープ(腺腫)の段階で発見して切除すれば「がんになる前に」予防できます。
2. 大腸がんの症状
■ 早期の大腸がんは症状がほとんどない
大腸がんの怖いところは、早期大腸がんでは症状がほとんどないという点です。
そのため、「痛くないから大丈夫」「便通がちゃんとあるから大丈夫」と考えて検査を避けてしまう方が多く、進行してから発見されるケースも少なくありません。
ここで1つ注意点をお話しします。
よくネットや動画では”初期の大腸がん”と書いているものがありますが、厳密には初期の大腸がんと言う定義はありません。また同様に、大腸がんの”初期症状”と言うものも存在しません。あくまで大腸癌が進行したときに、まず起こりやすい症状のことを「初期症状」と言っています。
それとは別に、早期の大腸がんと言うのは明確に定義されています。
早期大腸がんは、”がん細胞が粘膜または粘膜化層にとどまっている状態”を指します。
初期症状だから、心配ないと考えている方もいますが、それは間違いです。がんで症状が出た時は、すでに進行していることが多く、早めの対応が必要です。
■ 大腸がんの始めに出やすい症状
- ☑️血便(少量の出血も要注意)
- ☑️便が細くなった
- ☑️便が残る感じ(残便感)
- ☑️排便習慣の変化(便秘⇔下痢を繰り返す)
- ☑️以前よりお腹が張りやすい
特に「便の異変」は大腸がんのシグナルの一つです。40歳を超えて、これらの症状が現れた場合、早めに大腸内視鏡検査を受けておくことをお勧めします。
■ 大腸がんが進行して起こる症状
さらに大腸がんが進行すると、次のような強い症状が現れます。
- ☑️激しい腹痛
- ☑️大量の血便
- ☑️便が全く出ない(腸閉塞)
- ☑️強い貧血
- ☑️明らかな体重減少
これらの症状が認められた場合は、緊急で入院治療する可能性があります。
3. 大腸がんの検査方法|内視鏡が最も信頼できる理由
■ 大腸がん検査の種類
大腸がんを調べる検査にはいくつか種類があります。
- ⚫️便潜血検査(大腸がん検診)
- ⚫️大腸カメラ(大腸内視鏡検査)
- ⚫️CT(大腸CT:バーチャルコロノスコピー)
中でも最も正確で、唯一「治療まで同時にできる」のは 大腸内視鏡検査 です。
また、大腸がんの確定診断のためには組織検査が必要であり、その診断のためには大腸内視鏡検査が必要となります。
■ 大腸内視鏡検査が優れている理由
- ⚫️ポリープをその場で切除できる
- ⚫️粘膜の状態を直接観察できる
- ⚫️ごく早期の大腸がんも見逃しにくい
当院では「鎮静剤麻酔を使った、痛みの少ない大腸カメラ」に力を入れており、検査を受けた患者さまから「思っていたより楽だった」との声を多くいただいています。
4. 大腸がんの治療方法|進行度(ステージ)別の治療方針
大腸がんの治療は、がんの進行度(ステージ)によって異なります。
■ ステージ0~Ⅰ:早期大腸がん
治療:内視鏡治療(EMR・ESD)
粘膜の浅いところにとどまるがんであれば、内視鏡のみで切除可能です。
入院の必要がない、もしくは短期入院で済むケースが多く、体への負担が非常に小さい治療です。
■ ステージⅡ~Ⅲ:進行大腸がん
治療:外科手術(腹腔鏡手術)+必要に応じて化学療法
腸の一部を切除し、リンパ節も同時に取り除きます。
最近では腹腔鏡手術(お腹に小さな穴を開ける手術)が主流で、回復も早く傷跡も比較的小さいことが特徴です。
■ ステージⅣ:転移のある大腸がん
治療:化学療法・放射線治療・外科手術の組み合わせ
肝臓や肺などに転移がある場合でも、集学的治療により長期生存を目指すことが可能なケースもあります。
5. 大腸がんの予防法|今日からできる生活習慣改善
大腸がんの予防には、1次予防と2次予防があります。
1次予防とは、大腸がん自体が発生するのを防ぐための生活習慣の改善を指します。食生活、運動、禁煙などが主な対策です。
■ 食生活のポイント
☑️野菜や果物を意識して増やす(食物繊維を多く)
☑️赤身肉・加工肉を摂りすぎない
☑️高脂肪の食事を控えめに
☑️過度な飲酒を避ける
■ 運動習慣
☑️1日30分のウォーキング
☑️肥満は大腸がんのリスクを上げるため、適正体重を保つことが重要です。
■ 喫煙を控える
喫煙は大腸がんの危険因子として知られています。
■ 定期的な大腸内視鏡検査
2次予防とは、定期的な検診によって大腸癌を早期に発見し、早期に治療することで完治を目指すものです。大腸がんの多くは、良性ポリープががん化して進行することが多いため、ポリープの段階で切除することが特に重要です。
最も重要な予防は 大腸カメラ です。
大腸ポリープを切除することで、大腸がんになるリスクを90%以上予防できると言う研究データがあります。
1次予防と2次予防ですが、どちらが癌の予防効果が高いかと言うと、2次予防の方が大腸がんの発症率を減らすことにできます。(生活習慣に気をつけることももちろん大事ですが、大腸カメラを定期的に受けておく方が、大腸癌の予防につながります)
6. 大腸がんでよくある質問(Q&A)
Q1. 大腸がんは遺伝しますか?
遺伝の影響もありますが、多くは生活習慣や年齢が原因です。
家族に大腸がん・ポリープが多い場合は、早めの検査が推奨されます。
Q2. 大腸カメラは痛いですか?
大腸の走行は個人差があり、長い人やねじれている人、癒着がある方は大腸カメラが痛くなることがあります。
鎮静剤を使用することで、ほぼ眠った状態で検査が受けられます。
当院では、経験豊富な内視鏡専門医が、鎮静剤を使って苦痛の少ない検査を提供しています。
Q3. 便潜血検査が陰性なら大腸がんではない?
いいえ。便潜血は 早期大腸がんの約半数で陰性 と言われています。
陰性でも、症状があれば大腸カメラが必要です。
Q4. ポリープを取ると痛みがありますか?
大腸の粘膜表面には神経が走っていません。ポリープ切除は痛みを感じる神経がほとんどない部分で行うため、基本的に痛みはありません。(逆に、大腸ポリープで症状が出ません)
Q5. 若くても大腸がんになりますか?
30代・40代でも発症するケースがあります。
遺伝性の大腸癌の場合、若年発症することがあり、大腸がん家系の場合は早めの内視鏡検査をお勧めしています。
Q6. 大腸がんは治せますか?
早期であれば高い確率で完治が期待できます。
進行していても治療により長期生存を目指せるケースがあります。
まとめ|大腸がんは“予防できるがん”。気になる症状がある方はご相談ください
- 大腸がんは日本で増えている
- 初期は症状がほとんどない
- 早期発見なら内視鏡で治療可能
- 大腸カメラは大腸がんの予防に最も有効
- 40歳以降は一度は大腸カメラを
- 便の変化があれば年齢に関係なく検査が必要
当院では、
痛みの少ない大腸内視鏡検査・豊富な検査実績・鎮静による快適な検査環境を提供しています。
「検査を受けるべきかわからない」
「症状が大腸がんか心配」
など、どんな些細なことでもお気軽にご相談ください。
■当院の案内
当法人では「大阪から胃がん、 大腸がんを撲滅する」 と目標に掲げています。
森ノ宮胃腸内視鏡ふじたクリニック、大阪本町胃腸内視鏡クリニックともに、 胃カメラ大腸カメラを専門とする内視鏡クリニックです。 鎮静剤麻酔を使った楽な胃カメラ、大腸カメラを行っています。
消化器内視鏡専門医による高精度かつ苦痛の少ない内視鏡検査を通じて、胃がんや大腸がんの早期発見と予防を目指しています。
【森ノ宮胃腸内視鏡ふじたクリニック】
2016年に開業し、年間約4000件の内視鏡検査を行っています。
JR森ノ宮駅直結、地下鉄森ノ宮駅から徒歩3分 ビエラ森ノ宮3階
胃カメラ・大腸カメラの予約はコチラ:https://junnavi.com/morinomiya-naishikyo/sindex.html
ホームページ:https://www.morinomiya-naishikyo.com
公式LINE:https://page.line.me/245ubgqw
【大阪本町胃腸内視鏡クリニック】
2022年に開業し、年間4000件の内視鏡検査を行っています。
内視鏡検査や診察は全て完全予約制です。
胃カメラ・大腸カメラの予約はコチラ:https://junnavi.com/honmachi/
ホームページ:https://www.morinomiya-naishikyo.com/osaka_hommachi/
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